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「藝術と藝能」後期試験問題 (2002年1月29日、30日実施)
採点講評を追加しました。(2002年2月4日)
4番の問題について、評価の高かった答案例を掲載しました。(2002年3月5日)
1.モーツァルトのオペラについて、次の(1)〜(3)の各問いに答えなさい。(30点)
(火曜4限クラス)
(1) 《ドン・ジョヴァンニ》第1幕において、レポレッロがドンナ・エルヴィーラに歌ってきかせる「カタログの歌」(「奥様、これが目録でございます」)では、どのような内容が歌われているか。
(2) 《ドン・ジョヴァンニ》において、ドン・ジョヴァンニはどのようにして死んだのか。
(3) 《魔笛》第2幕で、パパゲーノは恋人が失われたことをはかなみ、いったんは死を決意するが、その後、どのようにして立ち直ったのか。
(水曜1限クラス)
(1) 《ドン・ジョヴァンニ》第2幕の冒頭で、ドン・ジョヴァンニとレポレッロが衣服を交換した目的は何か。
(2) 《魔笛》第1幕で、パパゲーノが3人の侍女によって口に錠前をはめられてしまったのはなぜか。
(3) 《魔笛》第2幕で、夜の女王はパミーナに短剣を渡すが、これは何のためか。また、パミーナはそれによってどのように行動したか。
(評)いずれも、あらすじのプリントを読んでくれば大丈夫な問題。要点さえ書いてあれば即、各10点獲得である。講義中にヴィデオをちゃんと見ていた人にとっては、簡単すぎたかもしれないね。
(以下2、3、4の問題は、両クラス共通)
以降の問題は、講義中に予告しておいた通りの出題。問題はあらかじめ分かっているのだから、あとは各自がノートやプリントをどれだけ咀嚼して答案を書いているかが、評価の分かれ目になる。
2. モーツァルトの音楽は、しばしば「デモーニッシュ」であると言われるが、ここで用いられる「デモーニッシュ」とはいかなる意味であるか。(30点)
(評)「デモーニッシュ」という語は必ずしも「悪魔的」というだけの意味ではないし、ト短調の強烈な印象だけがその特質ではない。それをまず指摘しないとダメ。その上で、長調・短調、協和音・不協和音、リズムの安定・不安定などといった相反する要素が瞬時に交代する点を挙げて、それがモーツァルト音楽の特質にまでなっていることを説明する。
3. 《ドン・ジョヴァンニ》の物語全体を通して、ドンナ・エルヴィーラはいかなる人間的成長を遂げたであろうか。(20点)
(評)要は、自己中心的な恋愛感情という自分の殻を破れなかった女が、ドン・ジョヴァンニという男と出会うことによって、真の意味で相手の全存在を受け入れる愛を実践するように変わっていったことを指摘してあれば可。しかし、「悲劇のヒロイン」であるはずの人物が前半では喜劇的に描写されているという点がこの問題を考察する端緒になっているのに、そこまで言及しきれていない答案がほとんどだった。
4. 《魔笛》において、タミーノが受けた試練とはどのようなものか。また、この試練を乗り越えることが出来なかったパパゲーノには、どのような生き方が与えられたか。(20点)
(評)講義中にも言ったが、あらすじをなぞるだけなら簡単な問題である。しかし、なぜタミーノに沈黙が必要だったか、パパゲーノが得た幸せとは何であるかという点にまで言及した答案は、残念ながら少なかった。ある意味で、出来、不出来の差がついた(従って、評価の差に反映した)問題であった。
(答案例) タミーノの受けた試練は沈黙を守ることである。ふたりに待っているのは死であると不安にさせられたり、パミーナがあらわれても拒絶しなければならないというつらいものであった。パパゲーノは試練を越えることはできなかったが、パパゲーナという恋人を与えられ、赤ちゃんをたがいに送りあうという約束を交わし、幸せになった。タミーノもパミーナと試練を乗り越え、最後には、神殿にむかえ入れられ、幸せになった。両方とも幸せの大きさは違うが、人それぞれ自分にあった生き方で良いと思う。(短大文藝科1年、佐古みきさん)
沈黙を守るという試練。タミーノは、愛する恋人が現れても、沈黙を続けた。彼女を傷つけると分かっていても。だから、それが、沈黙を守るという試練に加えられ、精神的につらいと思う。
パパゲーノは、タミーノのように王子でもないし、鳥刺しとして日々生きて、妻とたくさんの子供に囲まれて、いわゆるふつうの幸せを追い求める生き方が与えられたと思う。王子タミーノのように、自分や愛するものを犠牲にして国を守ったり、規則を守るわけではなく、自分や家族の幸せだけを追求する生き方だと思う。(短大文藝科1年、大谷英理さん)
まず第一の試練は沈黙を保つことである、つまりたとえ何が起きようとも決して口を開いてはならぬというものである。そしてそこに3人の侍女が現れ、先がないことを2人に告げ、心をおびやかそうとする。
第二の試練は再び沈黙の試練であったが、今度は最愛の人が現れる。その人はタミーノが口をきいてくれないとすっかり絶望し、死ぬことをちらつかせる。
そして最後の試練はタミーノとパミーナの2人で火と水の洞窟を越えることであるが、魔笛の力で危険をのりこえて試練を突破する。今までのこの3つの試練はタミーノに、1つのものに向けて進み出したら、多少のことは置いておいて前進していくことが大切であると再確認させて、決して気持ちを揺るがせるなということを強く思わせているものであると思う。
さてパパゲーノは罰として暗い洞窟に入れられたり、愛する人を手に入れる寸前で引き離されたりとさんざんな目にあって、ついには怒って地面の中に沈み込んでしまう。彼が自分で沈み込んだのは、このような自分の感情を押し殺してまでなにかを得ようとすることや、誰かの言いなりとなってずっと過ごしていることへのいらだちなどからのがれ、何人にも邪魔されることのないあくなき自由を求めているからであると思う。そしてついにパパゲーノはなにかにしばられることのない自由な生活を手に入れることができたのである。(観光学部1年、合田裕之くん)
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