大阪明浄大学観光学部 2002年度

美術の歴史
キリスト教美術(新約聖書編)
木曜日3限

【科目系列】広域科目
【年次】2年次 【学期】通年 【単位】4単位


《御訪問》14世紀の写本より 【授業の目的】
 観光とは国の「光を観る」ことであると言われるが、絵画・彫刻はその「光」のなかでも真っ先に挙げられるべきものであろう。事実、美術鑑賞はしばしば観光旅行・ツアーの目玉のひとつとなっている。しかし、ただ漫然と絵を眺めながらその前を通過していくだけでは意義は半減する。絵の中に描かれているものが何であるのか、あらかじめ知っているのといないのとでは非常に大きな差があることは言うまでもない。

 今年度もヨーロッパの美術を取り上げ、ヨーロッパ絵画・彫刻の多くがキリスト教の主題から取られていることに着目して、これらの藝術作品とキリスト教との関係を講述する。授業では適宜スライド・ヴィデオ・DVD等を用い、視聴覚をも駆使して理解を深めたい。また、必要に応じて学外授業として美術館等の見学会を行う可能性もある。

【受講に当たっての留意事項】
講義の中で、受講生諸君の見解を記述してもらう機会を随時設けるので、出席を怠らないように。また受講生諸君には、各自が美術館・博物館等に赴いて、実際の作品を数多く見るように、強く希望する。

【教科書】
西岡文彦『名画でみる聖書の世界 新約編』Kodansha Sophia Books、講談社、2000
他に必要に応じ、適宜ハンドアウトを用いる。

【参考書】
講義中に適宜指示する。

【成績評価の方法】
授業中に課す論述課題の成績に出席状況を加味して総合的に評価する。


単位取得の条件
下記のように、講義期間中に課す3つのレポート、及び学年末試験の成績によって評価する。課題(i)〜(iv)をすべて完了していなければ単位は認定しない。なお、これに出席状況を考慮に入れることもある。
(i) レポート(1) (4月下旬に論題を指示、5月末までに提出)
(ii) レポート(2) (6月中旬に論題を指示、7月中旬までに提出)
(iii) レポート(3) (11月上旬に論題を指示、11月末までに提出)
(iv) 学年末試験 (1月下旬に予定。試験問題の一部は前もって講義中に指示する。)
評点は、レポート(1)〜(3)を合わせて全体の40%、学年末試験を全体の60%とし、合計で60%以上の得点をもって合格とする。

《学年末試験問題》

  1. 短答式問題(30点)。今年度の講義内容から出題。
  2. 受胎告知図について(20点)。教科書pp.36-60から出題。
  3. 「七つの秘跡」連作画について(20点)。講義中のスライドとハンドアウトから出題。
  4. 観光ガイドになったつもりで、レオナルド・ダ・ヴィンチ『最後の晩餐』を解説せよ(30点)。
    教科書pp.138-152や講義内容などを参考にして自由に記述してよい。


【授業計画】

前期
【第1回】
主題:美術の見方について
「美術を見る」とはどういうことだろうか。漫然とした美術鑑賞に陥らずに作品を見ていくのには、どのような方法・態度があり得るのかを講述する。

第1回と第2回の予習課題: 教科書pp.17〜28「はじめに」を読んでくること。

【第2回】
主題:キリスト教美術を見る鍵
ヨーロッパ美術の原点であるキリスト美術は、ちょっとしたコツが分かれば抜群に面白くなる。その鍵となるいくつかの約束事について講述する。

【第3〜6回】 フラ・アンジェリコ《受胎告知》 プラド美術館蔵
主題:聖母マリアとその生涯
内容:受胎告知

【第7〜9回】
主題:イエスの降誕と洗礼(1)
内容:東方三博士の礼拝

キリスト降誕の絵画について、東方三博士の描かれ方を中心に講述します。
予習課題:教科書pp.69-78を読む。

【第10〜12回】
主題:イエスの降誕と洗礼(2)
内容:キリストの洗礼

「エジプト逃避」: キリストの少年・青年期はほとんど聖書には描かれません。その理由と、いわゆる「公生活」に至るまで、特に幼児期のことを講述します。
予習課題: 教科書pp.80-85を読む。

「イエスの洗礼」: 洗礼者ヨハネとイエスについて講述します。
イタリア美術のヴィデオ: フィレンツェを紹介します。

予習課題: 教科書pp.93-100を読む。

宗教画における聖と俗: キリスト教絵画に見られる裸身像について講述します。
イタリア美術のヴィデオ: ローマを紹介します。
第2回レポート(夏休み課題)を出します。

予習課題: 教科書pp.90-93, 101-102を読む。

【第13回】
主題:イエスの宣教(1)
内容:悪魔と奇跡
荒野での誘惑: イエスが悪魔の誘惑を受けるところを講述します。
予習課題: 教科書pp.104-107を読む。


後期
【第14〜16回】
主題:イエスの宣教(2)
内容:山上の説教

公生活のはじまり: イエスが宣教活動を開始するところから講述します。
「7つの秘跡」(その1): 「洗礼」について
予習課題: 教科書pp.107-120を読む。

山上の説教: 「幸いな人」について講述します。
「7つの秘跡」(その2): 「堅信」と三位一体の教義について
予習課題: 教科書pp.122-128を読む。

隣人愛: 「善きサマリア人」の比喩について講述します。
「7つの秘跡」(その3): 「悔悛(告解)」について
予習課題: 教科書pp.130-136を読む。

【第17〜18回】
主題:受難(1)

「最後の晩餐」: レオナルド・ダ・ヴィンチの名画について、また聖木曜日の出来事についても講述します。
「7つの秘跡」(その4): 「聖餐」について
予習課題: 教科書pp.138-148を読む。

「最後の晩餐」: レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画技法について講述します。
「7つの秘跡」(その5): 「婚姻」について
予習課題: 教科書pp.138-148を読む。

【第19〜21回】
主題:受難(2)
内容:裏切りと嘲笑
遠近法絵画: 近代西洋絵画における遠近法の意味について
「裏切り」: エルサレム入城からユダの裏切りに至るまでの、人間の心の有様について講述します。
「7つの秘跡」(その6): 「叙階」について
予習課題: 教科書pp.148-150を読む。

「ペテロの否認」: イエスを3度否むペテロについて講述します。
「7つの秘跡」(その7): 「終油」について
予習課題: 教科書pp.162-168を読む。

参考図書(11月7日の講義で紹介したもの)
八木谷涼子『知って役立つキリスト教大研究』新潮OH!文庫、2001


【第22回】
主題:受難(3)
「ゴルゴタへの道」: 
イエスがゴルゴタの丘に行くまでの出来事について講述します。
予習課題: 教科書pp.170-186を読む。

グリューネヴァルト《イーゼンハイム祭壇画》 フランス、ウンターリンデン美術館蔵
【第23回】
主題:受難(4)
「磔刑」: 
十字架のイエスについて講述します。
予習課題: 教科書pp.188-212を読む。

【第24回】
主題:受難(5)
「ピエタ」: 
十字架降下のイエス、嘆きの聖母について講述します。
予習課題: 教科書pp.214-230を読む。

【第25回】
主題:復活と昇天
「エマオでの出現」: 
復活のイエスが弟子達に現れたところを描いた絵について講述します。
予習課題: 教科書pp.232-244を読む。

【第26回】
主題:黙示録
「最後の審判」: 「ヨハネの黙示録」とシスティーナ礼拝堂について講述します。
予習課題: 教科書pp.246-269を読む。


〈次回〉
【第27回】
まとめ
1年間の復習と試験対策: 学年末試験の狙い目をお話しします。
予習課題: 公表された試験問題について、よく勉強しておく。



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