観光藝術学 2007年度
藝術ジャンルの概観: 観光における藝術の諸相
【科目の系列】 観光基礎科目
【年次】1年次 【学期】前期 【単位】2単位
【講義の目的】
観光文化における藝術についてさまざまなジャンルを概観し、その広がりを学ぶ。主要な藝術ジャンルのそれぞれについて代表的な作品を取り上げ、それらの作品と観光との関わりを中心に講述する。同時に、藝術作品を「観光」として受容する上でついて回るさまざまな問題点について考察していく。
【講義計画】
【第1〜3回】 美術(絵画・彫刻・建築など)
絵画などの造形藝術は重要な観光資源である。今年度はフランスのルーブル美術館とオルセー美術館、及びポンピドゥ・センターを取り上げて代表的な作品を紹介しつつ、ヨーロッパの伝統的美術と近代美術、現代美術の相違について講述する。併せて、観光を目的として作品を展観することの問題点を考察する。
4月13日 ルーブル美術館 西洋のルネサンス絵画
4月20日 オルセー美術館 フランスの近代絵画
4月27日 ポンピドゥ・センター 西洋の現代美術
【第4〜6回】 演劇
舞台でのパフォーマンスを主とする藝術は、規模の多少はあれ、大勢の人々を一ヶ所に集めることを前提に営まれてきた。今年度は古代ギリシア劇の中からソポクレス『オイディプス王』を取り上げ、その上演の様子を見ながら、演劇というものが持っている祝祭としての側面について考察する。
5月11日 『オイディプス王』(1):古典劇の上演方法
5月18日 『オイディプス王』(2):古典劇の祝祭性
5月25日 『オイディプス王』(3):ギリシア悲劇と現代
【第7、8回】 日本の古典藝能(能・狂言・文楽・歌舞伎など)
日本の古典藝能は、日本人に愛好家が多いのは無論のこと、外国人にも熱烈なファンが多く、その魅力の源泉を探りに日本を訪れる人々も決して少なくない。今年度は歌舞伎『暫』(しばらく)を取り上げ、その内容と特質を考察する。
6月1日 『暫』(1):歌舞伎の上演方法
6月8日 『暫』(2):歌舞伎の見方
【第9〜11回】 パフォーミング・アート
コンサートホール、劇場、あるいは野外において、何らかの形で上演を行う藝術ジャンルをパフォーミング・アート(表演藝術)と言うが、今日ではある種のイベント性を強く帯びる傾向が見られる。また近年では、スポーツ競技(とりわけプロ・スポーツ)の中にも「藝術性」を認めるべきではないかという議論も起こっている。そこで今年度は、音楽、舞踊、スポーツを個別に取りあげ、それぞれの上演・演技の持つ藝術としての特質と、それぞれの現代的意味を考える。
6月15日 音楽 ライブイベントの現代的意味
6月22日 舞踊 バレエ−日本舞踊−ジャズダンス:身体の藝術性
6月29日 スポーツ スポーツイベントの現代的意味:「スポーツ=藝術」?
【第12、13回】 映像藝術
今日では、映画や写真といった映像技術も藝術ジャンルの一つとして受け入れられている。映像作品によって外国の文物や文化を知るということもたびたび経験するし、また、古今東西の映像作品が観光資源を生み出すことも少なくないであろう。今年度はウィリアム・ワイラー監督、オードリー・ヘプバーン主演の『ローマの休日』を取り上げ、映画と観光との関係を考えていく。
7月6日 『ローマの休日』(1)
7月13日 『ローマの休日』(2)
【受講に当たっての留意事項】
講義時数3分の1を超えて欠席した者には、期末試験の受験資格を認めないので注意すること。
【教科書】
特に指定せず、必要に応じてハンドアウトを使用する。
【参考書】
講義中に適宜紹介する。
【成績評価の方法】
期末試験の成績によって評価する。
1.授業評価結果の概要(課題)
【評価する点】
○ 世界の美術、演劇、日本の歌舞伎など、幅広いジャンルを勉強できてすごく満足している。(多数)
○ ヴィデオや音楽を聞きながら進む授業だったので分かりやすく、楽しい。(多数)
○ 配布プリントとヴィデオを照らし合わせながら進めてくれるので分かりやすい。
○ 板書の量が苦にならない程度でちょうど良かった。
○ 進み具合がちょうど良い。
○ 是非一年生にお奨めしたい講義である。
○ 休講がなくて助かった。
【改善すべき点・コメント等】
(1) ヴィデオの用い方が唐突な印象がある。どういう意図で見せるのかを説明して欲しい。
(2) 板書のまとめが分かりにくいことがある。
2.上記評価に関する教員の取り組み(授業改善策)
○ 受講生の皆さんから、多くの好意的な評価をいただき、感謝しています。講義は、藝術の様々なジャンルを概観するのが第一の目的ですので、作品紹介の部分は、いわばカタログ的に楽しんでもらえればそれで結構です。それに加えて、毎年何か一つ、藝術学上の現代的な問題を盛り込んでいますので、その部分は少々難しいかもしれませんが、併せて学んでいけば有意義な講義になります。
○ ところで、休講がなくて「助かる」という表現は、なにやら示唆的で面白いですね。休講を極力無くしていくことは、教師として当たり前のことですが、それだけ本学の学生諸君は、教員達の度重なる休講によって不利益を被っているという意味なのだと思われます。 単なる講義時数の問題ではなく、講義をきちんと毎週定期的に行うことが、一歩一歩着実に学びを進めていくという「良い習慣」の育成につながります。それが本学のどこかの部分で出来ていないとするならば、やはり本学の教育に問題があるということですから、この件については全学的な取り組みが必要なのだと思います。
【改善点・コメント等について】
(1) ヴィデオを用いる意図が十分伝わっていなかったとのことで、そのときは説明を若干急ぎすぎていたのたかもしれません。が、配布プリントとヴィデオを照合しながら進める方法が分かりやすいと評価する声もいただいておりますので、人によって、あるいは状況によって、受け取り方が様々なのだとも思われます。視聴覚教材を用いる際には、十分気をつけたいと思います。
(2) 板書についてですが、分量としては適切であるとの声をいただいてますので、あとは内容の問題なのかと思います。講義中折に触れて言っているとおり(あるいは運悪くそのときは欠席していましたか?)、私が黒板に書くことはあくまで骨組みの重要なポイントだけです。受講生諸君はそれを材料として、講義中の発言や配付資料・ヴィデオ等の情報、また自身の疑問点なども盛り込んで、めいめいに自分の講義ノートを構成していく知的作業が必要です。大学の講義は多くの場合、高校までの授業とは違って、板書を丸写ししただけではとても「まとめ」にはならないものであると承知してください。
(c) Motoaki Kato, 2007-2008
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