音楽文化論 2008年度 (金4前期)
ジャズ史から見える20世紀の音楽
【科目の系列】 専門科目(展開)
【年次】2年次 【学期】前期 【単位】2単位
【講義の目的】
この講義では、古今東西のさまざまな音楽について、専門的な理論をふまえて講述する。
今年度は、20世紀においてとりわけ特徴的な発展の形を見せたジャズという音楽について、その発生から今日の姿までを概説すると共に、この約100年間の西洋音楽がたどった道のりを振り返り、併せて21世紀の音楽が置かれている現状と課題についても考察する。
冊子版への補遺
「ジャズ」という名前で括られる音楽は、実は相当に幅の広い領域にわたっている。洒落た酒場のBGMに使われる1950年代風ハードバップ系、あるいはウエストコースト系モダンジャズも「ジャズ」なら、とてもBGMには使えないような難解極まる「藝術的な」鑑賞用セッションも「ジャズ」と言われるし、また30年代のダンスホールや90年代以降のクラブシーンで用いられる「踊るための」音楽にも「ジャズ」という名称があてられることがある。
こうした状況が生まれてくるのは、ジャズという音楽の根底に、その融通無碍な(むしろ変幻自在な)本質があるからである。20世紀の初頭に発生したジャズは、合理的で理知的で西洋文明謳歌の明るい(「西洋音楽(=西洋文明)バンザイ!」的な)側面と、多様で複合的で錯綜した人種・民族・政治・経済・文化・生活等々の陰で苦しむ人間の暗い(「でもホントにクールなのは別なものなんだ!」的な)側面とを、ひとつの音楽的方法論の中で巧みに表現し得ている。
本講義では、これらの秘密を解き明かしながら、ジャズという音楽が含み持っている「陽」と「陰」の両面を見ることによって20世紀の音楽文化を反省し、併せて現代文化を享受する人間の問題を考察する契機としたいと企てている。
【講義計画】
4月11日 【第1回】 ジャズの誕生: 融合音楽としてのブルース、ラグタイム、ジャズ
4月18日 【第2回】 アメリカ南部から伝播するジャズ: ルイ・アームストロング
5月 9日 【第3回】 禁酒法時代のジャズ: デューク・エリントン
5月16日 【第4回】 スウィング・ジャズ: グレン・ミラー、カウント・ベイシー
5月23日 【第5回】 ビ・バップ: チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピー
5月30日 【第6回】 モダンジャズの時代: ハード・バップ、ウエストコースト・ジャズ
6月 6日 【第7回】 ジャズの隆盛: イベント形式のジャズ演奏
6月13日 【第8回】 モダン・ジャズの方法: 西洋音楽の方法、詩や映画との融合の試み
6月20日 【第9回】 フリー・ジャズの時代: コード音楽とモード音楽、ジャズの先鋭化
6月27日 【第10回】 ジョン・コルトレーンの時代: モダンジャズ神話の終焉
7月 4日 【第11回】 ブラック・ミュージックの覚醒: R&B、ソウル、ファンク、ヒップ・ホップ
7月11日 【第12回】 マイルス・デイビスという存在: 「エレクトリック・マイルス」以降の音楽
7月18日 【第13回】 現代のジャズ: 音楽はどこへ行くのか?
【第1回】 ジャズの誕生: 融合音楽としてのブルース、ラグタイム、ジャズ
まずは入門篇として、上記「冊子版「講義の目的」への補遺」に挙げた諸事例を実際に聴き、「ジャズ」という音楽ジャンルの広がりについて概観する。ジャズに欠かせない要素である「即興」「アドリブ」「スウィング」等といったものが、いずれも決してジャズの専売特許ではないことを確認した上で、「ジャズ」という語の適応範囲について考える。
ビル・エヴァンズ・トリオ Bill Evans Trio "My Foolish Heart", "Waltz for Debby" 1961年録音 Riverside, 1987
デューク・エリントン楽団 Duke Ellington and his orchestra "Take the A Train" 1941年作曲、1966年録音 from "The Popular Duke Ellington" BMG, 1994
グレン・ミラー楽団 Glenn Miller Orchestra "Moonlight Serenade" 1939年録音 from "The Best of Glenn Miller" BMG, 2002
ジャミロクワイ Jamiroquai "Virtual Insanity" from "Traviling without Moving" Epic/Sony, 1996
【第2回】 アメリカ南部から伝播するジャズ: ルイ・アームストロング
一般に融合音楽としてのブルーズ、ラグタイム、ジャズ等は、アメリカという土地でアフリカ文化とヨーロッパ文化が融合して出来た音楽であると説明されるが、事はそれほど単純ではない。本講では、「融合」を生み出す異文化同士の衝突と軋轢の内実を考察する。また、ブルーズの基本的な特徴を概観し、その上でニューオリンズでのジャズと、シカゴへの伝播について講じる。
〈参考図書〉(本学付属図書館に蔵書あります。)
中村とうよう 『大衆音楽の真実』 ミュージック・マガジン、1986
ロバート・ジョンソン Robert Johnson "I Believe I'll Dust My Broom" 1936年録音 Columbia, 1997
ライトニン・ホプキンス Lightnin' Hopkins "Tom Moore Blues" 1967年 P-Vine Records, 2001
スコット・ジョプリン Scott Joplin "The Entertainer" 映画《スティング》(1973年)より Universal, 2006
ルイ・アームストロング Louis Armstrong "St Louis Blues" 1959年録画 in "Louis Armstrong Live in '59" (DVD), Universal, 2006
【第3回】 禁酒法時代のジャズ: デューク・エリントン
1920年代のアメリカは「禁酒法」の影響を大なり小なり受けていた。しかし、そういう時代にあっても音楽家たちは音楽活動を続け、もっぱらダンス音楽を中心に活動を行っていた。その中で、多くの楽器を用いる大編成バンド(ビッグ・バンド/フル・バンド)による演奏が主流となった。講義では、20世紀の音楽に偉大な足跡を残したデューク・エリントンの演奏を通して20年代以降の音楽を学び、また、エリントンの魔法とも言うべき音作りに触れてみたい。
デューク・エリントン Duke Ellington (pf) and his Orchestra. "Satin Doll", "Mood Indigo", "Sophisticated Lady", "Take the A Train" 1968年他 in "Duke Ellington: Memories of Duke" (DVD), Columbia, 2002
【第4回】 スウィング・ジャズ: グレン・ミラー、カウント・ベイシー
1930年代「禁酒法」撤廃後のアメリカでは、合法化された酒場営業のために、客寄せエンタテイメントとしてのダンス音楽の需要が高まった。また、ラジオ放送の開始に伴って、放送用ダンス音楽の編曲も多く行われた。講義では、グレン・ミラー楽団の演奏を通して、こうした情勢の中で生まれた珠玉の名曲を味わう。他方、黒人バンドはジャム・セッションを繰り広げる独自の方法論を開発していた。その代表格として、カウント・ベイシー楽団の演奏活動について学ぶ。
グレン・ミラー Glenn Miller (cond) and his Orchestra. "Moonlight Serenade" 1939年 in "The Best of Glenn Miller" BMG, 2002
グレン・ミラー Glenn Miller (cond) and his Orchestra. "In the Mood" 1939年 in "The Best of Glenn Miller" BMG, 2002
カウント・ベイシー Count Basie (pf) and his Orchestra. "One O'clock Jump", "Take Me Back Babie"他 1930年代 in "Count Basie: Swingin' in the Blues" (DVD), Columbia, 1992
【第5回】 ビ・バップ: チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピー
1940年代アメリカに生まれたビ・バップは、ダンス音楽の演奏に飽きた音楽家達によって、主題(テーマ)を基に即興演奏を繰り広げる音楽として発展され、その後のジャズに強い影響を与えた。講義ではチャーリー・パーカーとディジー・ガレスピーの演奏を通して、この演奏形式について学ぶ。また、これらの「ホット」なジャズに対して生まれた「クール」な音楽作りについて、マイルス・デイヴィスの演奏から学ぶ。
ディジー・ガレスピー Dizzy Gillespie (tp) 他 "Norm's Norm" 1961年 in "Charlie Parker & Dizzy Gillespie" (DVD), Salt Peanuts
チャーリー・パーカー Charlie Parker (as), ディジー・ガレスピー 他 "Hot House" 1952年 in "Charlie Parker & Dizzy Gillespie" (DVD), Salt Peanuts
チャーリー・パーカー Charlie Parker (as), マイルス・デイヴィス Miles Davis (tp) 他 "Another Hair Do" take 1, take 2, take 3. 1947年 "Charlie Parker Memorial Vol.1", Savoy, 1991
マイルス・デイヴィス Miles Davis (tp) 他 "Move" 1949年 in "Birth of the Cool", Capitol Jazz, 2001
【第6回】 モダンジャズの時代: ハード・バップ、ウエストコースト・ジャズ
20世紀の西洋音楽でもっとも先鋭的な発展を見せたジャンルは、クラシックよりもむしろジャズであると言えよう。しかし、そのような言説が可能になるのは、ジャズが西洋音楽の方法を吸収して、みずからを洗練していったことに大きく依存している。今回の講義では、ブルースとバップの関係を取り上げて、その洗練の過程を概観する。
〈参考図書〉(本学付属図書館に蔵書あります。)
菊地成孔、大谷能生 『東京大学のアルバート・アイラー: 東大ジャズ講義録・歴史編』 メディア総合研究所、2005
菊地成孔、大谷能生 『東京大学のアルバート・アイラー: 東大ジャズ講義録・キーワード編』 メディア総合研究所、2006
菊地成孔、大谷能生 『憂鬱と官能を教えた学校: バークリー・メソッドによって俯瞰される20世紀商業音楽史』 河出書房新社、2004
ロバート・ジョンソン Robert Johnson (voc, g) "I Believe I'll Dust My Broom" 1936年 in "Robert Johnson: King of the Delta Blues" Columbia, 1997
カウント・ベイシー Count Basie (pf) & His Orchestra "Jumpin' at the Woodside" 1957年 in "Basie in London" Polygram, 1988
チャーリー・パーカー Charlie Parker (as) "Confirmation" 1953年 in "Charlie Parker: Now's the Time" Verve Records
デイヴ・ブルーベック Dave Bluebeck (pf) 他 "Blue Rondo a la Turk"(トルコ風ブルーロンド) 1959年 in "Time Out" Columbia
デイヴ・ブルーベック Dave Bluebeck (pf) 他 "Take Five" 1959年 in "Time Out" Columbia
アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ Art Blakey (dm) 他 "Moanin'" 1958年 in "Moanin': Art Blakey and the Jazz Messengers" Blue Note, 1987
マイルス・デイヴィス Miles Davis (tp), ミルト・ジャクソン Milt Jackson (vb) 他 "Bag's Groove" 1954年 in "Bag's Groove: Miles Davis" Prestige, 1987
ソニー・クラーク Sonny Clark (pf) 他 "Cool Struttin'" 1958年 in "Cool Struttin': Sonny Clark" Blue Note, 1987
【第7回】ジャズの隆盛: イベント形式のジャズ演奏
1950年代は、コンサートツアーやフェスティバルといったイベント形式による演奏機会が盛んになった時期でもあった。またレコード録音によって数多くの名演奏が残っている時期でもある。講義では、まず和声法の初歩を説明し、その後、ブルースジャズの曲を例に、1940年代から50年代にかけて行われたビバップ・ジャズの方法論について講じる。
〈参考図書〉
吾妻光良 他著 『プレイ・ザ・ブルース・ギター』 中央アート出版社、1980
サン・ハウス Son House (voc, g) "My Black Mama" 1930年録音 "Son House and the Great Delta Blues Singers" Document Records, 2000
吾妻光良 "Play the Blues Guitar"(上掲書付属CDより) ブルースギターの弾き方(ブルースのコード進行の見本)
ソニー・クラーク Sonny Clark (pf) 他 "Cool Struttin'" 1958年 in "Cool Struttin': Sonny Clark" Blue Note, 1987
【第8回】 モダン・ジャズの方法: 西洋音楽の方法、詩や映画との融合の試み
ジャズと他ジャンルのコラボレーションについて概説した後、この時期のモダンジャズの名曲を鑑賞する。演奏者が違うと、同じひとつのメロディーが全く違う曲に変貌するというジャズならではの特質を、CDを聞き比べて体験する。
マイルス・デイヴィス Miles Davis (tp) "Ascenseur pour l'echafaud"(死刑台のエレベーター) 1958年 Universal, 2003
モダン・ジャズ・カルテット Modern Jazz Quartet "Golden Striker" 1957年 in "No Sun in Venice"(たそがれのヴェニス) Warner
ビル・エヴァンス Bill Evans (pf) "Waltz for Debby" 1959年 in "Waltz for Debby" Riverside
ビル・エヴァンス Bill Evans (pf) "Autumn Leaves"(枯葉) 1959年 in "Portrait in Jazz" Riverside
キャノンボール・アダレイ Cannonball Adderley (as), マイルス・デイヴィス Miles Davis (tp) "Autumn Leaves"(枯葉) 1958年 in "Something Else" Blue Note
バッド・パウエル Bud Powell (pf) "Cleopatra's Dream"(クレオパトラの夢) 1958年 in "The Scene Changes; The Amazing Bud Powell vol. 5" Blue Note
穐吉敏子 (pf) "Softly as in a Morning Sunrise"(朝日のようにさわやかに) 1956年 in "Toshiko" Storyville
モダン・ジャズ・カルテット Modern Jazz Quartet "Softly as in a Morning Sunrise"(朝日のようにさわやかに) 1955年 in "Concorde" Prestige, 1995
【第9回】 フリー・ジャズの時代: コード音楽とモード音楽、ジャズの先鋭化
ジャズの「アドリブ」というものは、西洋近代音楽のコードの約束事に従って行われていた。それは、第7回で既に講じたように、突き詰めれば音楽の記号化ということになる。しかし、それが常套化するにつれて、新しい方法を模索する動きが始まった。その例として、旋法を用いたモードジャズの方法について学ぶ。さらにフリージャズについても講述する。
ジョン・コルトレーン John Coltrane (ts) "Giant Steps" 1959年 in "John Coltrane: Giant Steps" Atlantic
グレゴリオ聖歌 第1旋法の「キリエ」 ソレム修道院聖歌隊 キングレコード
マイルス・ディヴィス Miles Davis (tp) "So What?" 1959年 in "Kind of Blue" Columbia
オーネット・コールマン Ornette Coleman (as) "Lovely Woman" 1959年 in "The Shape of Jazz to Come" Atlantic
【第10回】 ジョン・コルトレーンの時代: モダンジャズ神話の終焉
60年代はフリージャズの先鋭的な演奏が発展した時期であった。今回はこの時期のジョン・コルトレーンの演奏を年代順にたどり、ジャズという音楽が進んだ「あるひとつの極致」を見ておきたい。
ジョン・コルトレーン John Coltrane (ss) "My Favorite Things" 1960年 in "My Favorite Things" Atlantic
オーネット・コールマン Ornette Coleman (as) "Chronology" 1959年 in "The Shape of Jazz to Come" Atlantic
ジョン・コルトレーン John Coltrane (ss) "My Favorite Things" 1961年 in "John Coltrane: The Supreme Sessions"(DVD) Columbia, 2006
マイルス・ディヴィス Miles Davis (tp) "So What?" 1959年 in "Kind of Blue" Columbia
ジョン・コルトレーン John Coltrane (ts) "Impressions" 1963年 in "Impressions" Impulse
ジョン・コルトレーン John Coltrane (ts) "Acknowledgemnet" 1964年 in "A Love Supreme" Impulse
ジョン・コルトレーン John Coltrane (ts) "Ascension (Session 2)" 1965年 in "Ascension" Impulse
ジョン・コルトレーン John Coltrane (ts, bells) "Mars" 1967年 in "Interstellar Space" Impulse
ジョン・コルトレーン John Coltrane (ts, bells) "Venus" 1967年 in "Interstellar Space" Impulse
【第11回】 ブラック・ミュージックの覚醒: R&B、ソウル、ファンク、ヒップ・ホップ
〈この回の講義は、教科書の内容を離れて行います。〉
ジャズがコルトレーンの死とともにあるひとつの終焉を迎えていた頃、音楽シーンはむしろロック、R&B等のジャンルが興り隆盛に向かうことになる。その音楽の発展には、ブルースの特徴を取り入れつつ主として白人によって発達したロックと、黒人ミュージシャンたちによって、彼ら独自のアイデンティティーを表す音楽として発達したR&B等の諸ジャンルがある。
また、1970年代にジャマイカで生まれたレゲエは、アメリカのR&Bを基にしているとは言われるものの、ジャマイカ独自の音楽として発達した。ジャマイカの人々は、既存の音素材を、音響機器を駆使してアレンジし、またしゃべりの要素をも盛り込んで、まったく別種の音楽を作り出してしまった。その音楽がジャマイカ系移民を通じて海を越えて人々を感化し、イギリスではクラブ・カルチャーとして、アメリカではヒップホップとして定着して、1980年代以降、それまで白人資本が支配していたロック、ソウル、ジャズの文化を変貌させてしまった。講義では、これらの過程を概観し、こうした新種の音楽が持っている音楽的特質と、現代の音楽文化に及ぼす影響・問題を考察する。(レゲエ、ダブ、DJ、ラップ、ヒップホップ)
レイ・チャールズ Ray Charles "Mess Around" 1953年 in "The Definitive Ray Charles" Warner
レイ・チャールズ Ray Charles "I've Got a Woman" 1955年 in "The Definitive Ray Charles" Warner
レイ・チャールズ Ray Charles "Georgia on My Mind" 1960年 in "The Definitive Ray Charles" Warner
ビル・ヘイリー&コメッツ Bill Haley and his Comets "Rock around the Clock" 1954年 in "Rock around the Clock" Decca
ビートルズ The Beatles "Sergeant Pepper's Lonely Hearts Club Band" 1967年 in "Sergeant Pepper's Lonely Hearts Club Band" EMI
シュープリームズ The Supremes "Where Did Our Love Go" 1964年 in "Diana Ross and the Supremes: Number 1's" Motown Records, 2004
オーティス・レディング Otis Redding "Respect" 1965年 in "The Very Best of Otis Redding" Atlantic, 1992
ジェームス・ブラウン James Brown "Please Please Please" 1956年 in "James Brown: The Best Collection" Universal International Music, 2002
ジェームス・ブラウン James Brown "Get Up, I Feel Like Being a Sex Machine" 1970年 in "James Brown The Best Collection" Universal International Music, 2002
ボブ・マーリー Bob Marley "Is This Love" 1977年 in "Legend: The Best of Bob Marley and the Wailers" Def Jam, 2002
パブリック・エネミー Public Enemy "Bring the Noise" 1988年 in "It Takes a Nation of Millions to Hold Us Back" Def Jam, 2000
【第12回】 マイルス・デイビスという存在: 「エレクトリック・マイルス」以降の音楽
音楽シーンのメインストリームをロック等の他ジャンルに奪われてしまった後のジャズを、マイルス・デイヴィスの音楽活動を振り返ることによって考察する。
〈参考図書〉(付属図書館には近日配架されます。すぐ読みたい人は、司書さんに問い合わせてください。)
菊地成孔、大谷能生(共著) 『M/D マイルス・デューイ・デイヴィスV世研究』 エスクァイア・マガジン・ジャパン, 2008
ジョージ・ベンソン George Benson "Breezin'" 1976年 in "Breezin'" Warner
ウェザー・リポート Weather Report "Birdland" 1977年 in "Heavy Weather" Sony Music
チック・コリア Chick Corea "Return to Forever" 1972年 in "Return to Forever" ECM
ジミ・ヘンドリクス Jimi Hendrix "Voodoo Chile" 1968年 in "Electric Ladyland" Universal
マイルス・デイヴィス Miles Davis "Shhh/Peaceful" 1969年 in "In a Silent Way" Sony Music
マイルス・デイヴィス Miles Davis "Bitches Brew" 1969年 in "Bitches Brew" Sony Music
マイルス・デイヴィス Miles Davis "Spanish Key" 1969年 in "Bitches Brew" Sony Music
マイルス・デイヴィス Miles Davis "Zimbabwe" 1975年 in "Pangaea" Sony Music
【第13回】 現代のジャズ: 音楽はどこへ行くのか?
現代の商業音楽は、コンピュータを用いたデジタル素材と肉声・演奏を組み合わせて作られることがむしろ一般的になっている。その中で行われる音楽作りの例を取り上げ、調性的な記号化の音楽がある種の徹底を見ている現況を概観する。また、その流れの中で音楽家たちがどのような方向性を見いだそうとしているのかを考察する。
ハンク・モブレイ Hank Mobley “Remember” 1960年 in “Soul Station” Blue Note
ヘレン・メリル Helen Merrill “You’d Be So Nice to Come Home to” 1954年 in “Helen Merrill with Clifford Brown” EmArcy
マイルス・デイヴィス Miles Davis “On the Corner” 1972年 in “On the Corner” Columbia
ジョン・ゾーン John Zorn “Latin Quarter” 1989年 in “Naked City” Elektra Nonsuch
スティーブ・コールマン Steve Coleman “Ascending Numeration: Reformed” 2007年 in “Invisible Paths: First Scattering” Tzadik
ビル・フリゼール Bill Frisell “Floratone” 2007年 in “Floratone” Blue Note
ウィントン・マルサリス Wynton Marsalis “Cherokee” 1987年 in “Marsalis Standard Time. Vol. 1” Columbia
ラウンジ・リザーズ The Lounge Lizards “Incident on South Street” 1981年 in “The Lounge Lizards” EG Records
【受講に当たっての留意事項】
講義時数3分の1を超えて欠席した者には、期末試験の受験資格を認めないので注意すること。 講義では、音楽の専門的な理論にまで踏み込んで話をするが、学習に必要な資料は講義中に配付し、また参考文献も図書館で準備する。講義にはきちんと出席し、また各自で教科書等を用いてよく復習しておくようにして欲しい。
【教科書】
相倉久人 『ジャズの歴史』 新潮新書203、新潮社、2007
【参考書】
講義中に適宜紹介する。
【成績評価の方法】
期末試験の成績によって評価する。
1.授業評価結果の概要(課題)
【評価する点】
○ 普段聴いたことのないジャズを聴けて楽しかった。(多数)
○ いろいろな音楽を聴くことができたし、ヴィデオで見ることもできて、とても面白い授業だった。(多数)
○ ジャズについては無知だったが、講義を受けてチャーリー・パーカーやマイルス・デイヴィスなどを知ることができたし、ジャズに興味を持った。
○ ジャズの深みが分かった。
○ コード進行、スケールなど知らなかったことを勉強できて有意義だった。ジャズギターを練習してみようと思った。
○ 毎回、教科書の一章ずつを進むので(進度が一定しているので)、欠席した回のフォローがしやすくてよかった。
○ 話し方が明瞭で聴きやすかった。
○ 音楽が好きでこの講義に興味があったし、先生の教え方が分かりやすかった。
○ 分かりやすかった。板書も理解できたし、後日ノートを見てもきちんと思い出せた…と思う。
【改善すべき点・コメント等】
(1) 興味がある講義だったが、けっこう難しかった。
(2) けっこうコアなところで難しかった。
(3) 日本人のジャズについて知りたかった。
2.上記評価に関する教員の取り組み(授業改善策)
○ 多くの受講生諸君から好意的な評価をいただき感謝しています。ジャズを通して、音楽の楽しさと素晴らしさを知ってもらえて嬉しく思います。後でノートを見返して、講義と音楽とをきちんと思い出せるよう願っております。
【改善すべき点・コメント等について】
(1)と(2) 「けっこう難しい」のは、やっぱり専門用語が頻出する「コアなところ」ですよね。逆に言うと、このコアなところがなければ講義の面白さがなくなってしまいます。ジャズに限りませんが、音楽というのは作曲でも演奏でも、この「コアな部分」を突き詰めていくのが最も面白くて、最も辛くて、しかし最も気持ちいいところなのです。
講義という形では、理論的で難しいところがたくさん出てきますし、半期という限られた時間では、どうしてもその概要をたどることしかできません。一緒に歌ったり演奏したりするわけではありませんから、講義で得られるものは演奏や鑑賞の気持ちよさとはまた異なります。でも、この講義を評価してくれた学生諸君のコメントを読んでいると、少しはその「コアな部分」の素敵なところを伝えることができていたようで、ホッとしています。
(3) 日本人の演奏家は、今学期の講義では穐吉敏子しか紹介できませんでした。しかし、日本人のジャズについてもっと話を聞きたいという受講者がいたのなら、もう少しいろいろな人たちのことを話したら良かったと思います。個人的には、山下洋輔、日野皓正、大西順子、小曽根真等々、まだまだ紹介したい人々がいっぱいいるのですが、半年で通史をやるとなると、ジャズ史全体の中でそれなりの位置を占めている人に絞られてしまうのが実情です。
【Web版限定の、おまけ】
期末テストの受験者23人に訊く「どの曲が一番好きですか?」
試験では下記の4曲について批評を書いてもらいましたが、同時に各自がこの4曲を気に入った順番に並べるアンケートをやってみました。以下は、各曲について1位に選んだ人の数です。
(1) Duke Ellington "Mood Indigo" 3人
(2) Charlie Parker "Confirmation" 13人
(3) Sonny Clark "Cool Struttin'" 3人
(4) Miles Davis "So What?" 4人
それぞれに「格好いい」曲を並べて、皆の反応を見ようと思って上記4曲を選んだのですが、チャーリー・パーカーがダントツの1位でした。これだけ差が開くと何か意味があるかもしれませんね。
(c) Motoaki Kato, 2008
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